草木染め、緑に染める

 昨年、藍の生葉でストールを染めに来てくださった生徒さんから、今年はグリーンに染めたいと以前よりリクエストをいただいており、何で染めようかといろいろ思案していました。
植物は概ね緑色なのに、染めると黄色や茶色が多い気がします。
箕輪直子さんの著書「草木染め大全」をぱらぱらとめくりながら眺めていると、それでも銅で媒染(抽出液を使って染めた素材に色素を定着させるための作業)をすると緑色になるものもあるようなので、いくつか手にいれやすい植物で目星をつけて染めてみました。

①赤紫蘇(銅媒染) 
←濃くて明るい緑
赤紫蘇は、みょうばん媒染だとグレーがかった青緑?  鉄媒染だとグレー。お酢を混ぜて酸性抽出すると薄いピンクになるようです。
 赤紫蘇は特に抽出方法や媒染方法によってまったく違う色に なるのが面白いです。 

 

②初夏のよもぎ(銅)
←辛子色に緑がかったような色
春の新芽ならもっと明るい柔らかい黄緑になるようです。(麻、銅媒染)


←シルクのソックスを銅媒染で染めたら、おいしそうなよもぎ餅の色に。


 

③レモングラス(銅)
←レモングラスは、顔回りが明るくなる私好みの色に染まりました。
 

←ちょっとシミがあって着ていなかった白い麻のブラウスも、ついでに染めてみょうばんで媒染したら、こちらはきれいなレモン色になりましたよ。(写真×実物はもっときれいな色)



日本には伝統色と言われる繊細な色の世界があります。
四季の移ろいの中から生まれた美の心、草木、雨、川、虫、鳥・・・自然と関わる暮らしの中から生まれた情緒豊かな色彩の表現。

たとえば緑色だけでも本当にたくさん
・翠色(すいしょく)・・・カワセミの羽色のような鮮やかな緑色
・青柳(あおやぎ)・・・青みを増した春の柳の葉のような強い黄緑色
・山藍摺(やまあいずり)・・・山藍で摺り染めた布の色で灰色がかった青緑
・山葵色(わさびいろ)・・・すりおろした山葵のような薄い黄緑色
・花萌葱(はなもえぎ)・・・若い青ネギの葉のような強く濃い緑色
・深碧(しんぺき)・・・宝石の緑碧玉の色のような力強く深い緑色
・若葉色(わかばいろ)・・・夏前の草木の若葉のようなやわらかい黄緑色
・裏葉色(うらはいろ)・・・木の葉や草の葉裏のような渋くくすんだ薄緑色

まだまだ続くので、、、これくらいにしますが素敵ですよね。
文字を見ているだけで、草木や生き物、自然をイメージでき心が安らぐ感じがします。

私の残念な表現力でなかなか色が伝わりにくかったと思いますが
今回の染め色については、左から
①赤紫蘇:草色(くさいろ)・・・若草が色濃くなったようなくすみのある濃い黄緑色
②よもぎ:市紅茶(しこうちゃ)・・・深く渋い萌黄色
③レモングラス:若菜色(わかないろ)・・・初春の若菜のような明るい黄緑色
といったところでしょうか。

忙しい現代を生きる私たちにも「四季を感じて自然と暮らす」時間って大切ですね。
心にゆとりを持って過ごせたらと思います。

8月のレッスンは、夏の暑さにも負けないで元気に育つ「レモングラス」で染めをします。
染めは、私がハーブを育てて暮らしに活用する営みの中でも、特に好きな手仕事のひとつです。
その染めの魅力をたっぷりお伝えします! 近々ご案内しますね^^
 
 

 

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